BANT条件(読み:バント)とは
BANT(バント)条件とは、主に法人営業で活用する、各案件の見込み度を測定する条件のことをいいます。
BANT条件に沿って顧客情報をヒアリングすることで、各案件の受注角度を推し量ることができます。
言い方を変えれば、法人営業において、まず第一にヒアリングしておくべき情報でもあります。
- B(Budget):予算 予算があるかどうか
- A(Authority):決裁権 商談している相手に決定権があるか
- N(Needs):ニーズ/必要性 会社としてその案件が必要かどうか
- T(Timeframe):導入時期 導入時期が具体的に決まっているかどうか
BANT条件の聞き方
BANT条件の聞き方をマスターするためには、実際のトークスクリプトを学ぶ必要があります。
B(Budget):予算
営業の提案段階で、先方の予算がどれぐらいなのかを知っておく必要があります。そもそも自社サービスの単価と、先方予算が乖離していると、どんなに商品の利点を語ったとしても、購入には至らない結果となってしまいます。
ただ、予算はなかなかダイレクトに聞きづらい質問でもあります。当然誰しもが「安ければ安い方が良い」という思いを持ち合わせているため、うまく聞き出すことができないことも多い項目です。
希望予算を先方から聞き出すために必要な聞き方として、
- ご予算は決まっておりますか?
- 最大で考えられる予算の上限などはございますか? 例)100万は無理だよ/500万までで抑えたくて
- ご提案をまとめる上で、10万円代か100万円代かなどイメージだけでも教えていただけませんか?
ある程度目安となる予算をヒアリングしてから提案を行うことで、先方要望と大きな乖離が生まれないので、検討のテーブルに乗りやすい提案を作り上げることができます。
A(Authority):決裁権
当該案件に対しての意思決定を行う人が誰なのかを踏まえた上で商談を進めることが重要です。
ただ、いきなり、目の前の方に対して決裁権者かどうかを確認することは難しいと思います。その場合は、稟議や決裁フローを確認することがオススメです。
- 今回の案件の決裁者はどなたになりますでしょうか?
- 今回ご提案差し上げた件、御社ではどのようなプロセスで意思決定されますでしょうか?
- 最終的にどなたのご意見が、決定に大きく寄与されるのでしょうか?
全体の意思決定プロセスを把握することで、クロージングのスケジュールなども計画に織り込むことができます。
N(Needs):ニーズ/必要性
先方の「こういう悩みを解消したい」という、曖昧なニーズから、具体的なニーズ、ニーズの裏のニーズといった領域までヒアリングを突き詰めていくことで、提案する内容の刺さり方が変わってきます。
例えば、【集客支援ツールを導入したい】というニーズがある場合に対しては、具体的にどれぐらいの集客がしたいのか、どういった集客を実施したいのか、といった具体的に内容を把握しておくことで、提案する際のポイントを抑えつつ刺さりやすい提案を作り上げることができます。
また、BtoB営業においては、担当者と決裁権者によって、ニーズが多少変化することがあります。担当窓口に「今回の導入の希望の仕様等はどういったものになりますでしょうか?」という質問をしたとしても、担当者は「業者から見積もりを取るように言われたから」という伝言ゲームになることもあり得ます。
その会社における、真のニーズや背景をきちんとヒアリングしておくことで、提案の納得感を高めることが可能になります。
- 今回の導入目的は何ですか?
- どういった業務の何をどう改善したいのでしょうか?
- ●●様が冗長から指示をもらっている内容はどういうものになりますか?(担当者から会社ニーズを読み解けない場合)
T(Timeframe):導入時期
いつ頃の導入予定かをヒアリングしても、導入時期は未定、決まっていないと言われることが多々あります。
そういう時には、「例えばこういった導入スケジュールはいかがでしょうか?」という形で、スケジュールも踏まえた提案をしていきましょう。
- 今回の導入スケジュールはどういったものでしょうか?
- なぜそのようなスケジュールなのでしょうか?(決算期だから/予算組みが●月までに必要だから...)
BANT条件が揃わないとどうなるのか
BANT条件のヒアリングがうまくできないと、
- 「なかなか成約に結びつかない」
- 「商談の途中で想定外の失注理由が出てきて契約できなかった」
こうした状況に陥りやすくなります。
営業側が商品の利点ばかりをプレゼンするのではなく、先方側の条件などをきちんとヒアリングして、適切なプレゼンテーションをすることが営業スキルとしても重要になってきます。
BANT条件の聞き方:まとめ
BANT条件を調べると、昨今の日本の営業スタイルにはマッチしないと言われることがあります。
しかし、内容をきちんと理解しておくと、どんな営業現場においても、顧客からヒアリングすべき項目を洗い出すことができます。BANT条件をきちんとマスターして、ヒアリングの質を向上し、プレゼンテーションからの受注率向上を計りましょう。