
ポータブルスキルとは
ポータブルスキルとは、その言葉通り業種や職種が変わっても「持ち運び可能な能力」と定義されます。例えば、「仕事のし方」は「課題を明らかにする」「計画を立てる」「実行する」という3つに分類していますが、これはどのような仕事でも共通する概念です。また、多くの仕事は一人で完結させることはできませんので「人との関わり方」として「社内対応」「社外対応」「部下マネジメント」の3つに分類しました。
従来の労働市場では、年齢が上がれば上がるほど、即戦力として分かりやすい「専門知識・専門技術」が重視されてきましたが、業種や職種を超えた労働移動を実現するにはこのポータブルスキルの概念をマッチング現場に持ち込むことが必要です。
テクニカルスキルと呼ばれる、経理やエンジニアなどそれぞれの仕事ごとの専門的な経験や知識、資格などではなく、「どのビジネス現場においても汎用的に必要とされるスキル」と言い換えることができます。
転職が当たり前の時代に必要なスキル
なぜポータブルスキルが重要なのか
転職するのが当たり前の現代の日本においては、あらゆる職場で活躍できる人材が重宝されます。全く同業種同職種での転職によってキャリアアップする人もいれば、30代から未経験の職種に対してチャレンジをする人もいます。どちらの場合であっても、転職を有意義な形でしたい、という思いは皆さんお持ちだと思います。そんな思いを実現する上では、企業がほしい人材にマッチした人である必要がありますが、企業がほしい人材は千差万別。転職したい職場に併せてスキルをためていくことができればそれに越したことはないですが、実態としては、現在の仕事内容に沿った仕事に集中してしまうため、なかなか新たな職場のスキルを学ぶ、といったことは難しいと思います。
そんな中でも、ポータブルスキルというのは、どんな職場においても重視されるスキルであり、読んで字のごとく「持ち運びできる」ということから、その職場だけでなく、転職したとしても持って行くことができるスキルです。将来のキャリアプランを考えるうえで、ポータブルスキルを身に着けていく、という意識をもって働き続けることは、自分のキャリアの幅を広げることにも直結します。
この記事では、そんなポータブルスキルの中でも、20代のうちから身に着けておくべきポータブルスキルを完全主観でまとめました。
20代で身に着けておくべきポータブルスキル
完全主観で、30代前半のヤマシタが選ぶ、20代で身に着けておくべきポータブルスキルをまとめました。自分が20代に戻れるのであれば、これらを意識的に身に着けようと今改めて考えるものを中心に取りまとめています。
企業や職業によって若干スキルマッチは変わってくると思いますが、ホワイトカラーの職場であれば、概ね役立てる内容になっているはずです。
論理的思考(ロジカルシンキング)
「AだからBである」という考え方を論理的に考えられる力です。例えば「この顧客はこういう理由で弊社のサービスを必要としている」「そのニーズはこのサービスのこの特徴が〇〇であるために、満たすことができる」といった具合に、あてずっぽうではなく、背景、理由が明確にあり、そのうえで結論を出すことができるというものです。
ビジネスの現場では様々な意思決定がなされますが、その意思決定の正しさを担保するために、(当然ビジネスの現場に正解などないのですが)理由や原因を踏まえた意思決定に努めます。
結果が出ないとき、それはなぜなのかをきちんと分解し論理的に思考を組み立てられる力は、どんな職場においても求められるポータブルスキルです。
課題設定力
個人的に、「課題解決力」よりもこの「課題設定力」の方が重要であると感じます。先述のとおり論理的な思考は重要であると書いた通りなのですが、設定された課題を解決することは、用意された問題を解いて行く事に近いものがあります。
それ以上に重要なのは、どこにその課題があるのか、ボトルネックは何かを見極めることです。ビジネスの現場では用意された答えはなく、直面する問題に対して、どこに課題があるかを見極める力が必要となります。それがこの「課題設定力」です。
コミュニケーション力
仕事は一人ではできません。集団や複数の人がかかわりあってビジネスというモノは成り立っています。そんな時に、円滑なコミュニケーションが図れるかどうかは、ビジネスの成否を分ける重要な要素です。
必ずしも空気が読めることは必須スキルではありませんが、相手の言っていることが理解でき、自分の考えを適切に相手に届けるといった基本的なことができるかどうかは、若いうちから多くの人とコミュニケーションを図って来たかどうかがカギになります。傾聴する力、説得する力、それらを総合したスキルが今後のビジネスの現場には求められます。
マネジメント力
自らが働きかけて成果を残すことは、プレイヤーのうちは至上命題として課せられますが、20代の若いうちから「人の力を使って成果を出す」ということを数多く経験しておくことで、将来的にチームを持ち、部下を従える時に、大きな成果を出すことができるようになります。
先に書いた通り、仕事は一人ではできません。また、一人で上げられる成果というものには限界があります。チームの力を終結させることで、より大きな成果を残すことができるのです。そんなときに必要なのは、人の力をうまく活用し、その成果を最大化させる力。すなわちマネジメント能力となります。
ビジネスの現場で初めからマネジメントをするシーンは多くはありませんが、後輩の面倒を見るようになった、とかそういった経験から、マネジメント力を鍛えることは可能です。
まとめ
ポータブルスキルとは、転職などが一般化された現代において、ビジネスマンのレベルを図る一つの指標となっています。若いうちからこうした視点を持ちながら働くことで、長い目で見たときの成長度合いに差が出てきます。キャリアアップする絵で必要なポータブルスキルを、20代のうちで身に着けられるだけ身に着け、優秀なビジネスマンへと進化していきましょう。